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森林 健悟; Lee, K.*; 香川 貴司*; Kim, D. E.*
Laser Physics, 16(2), p.322 - 324, 2006/02
被引用回数:1 パーセンタイル:7.24(Optics)多重内殻電離過程を用いた短パルス高強度X線の(1)強度,(2)パルス幅測定法の提案に関して講演を行う。(1)強度測定:高輝度短パルスX線源によるSi原子への照射の原子過程を取り扱った。電子がすべて電離した中空原子()と電子が1つだけ残っている多重内殻励起状態()から発生するX線数の比は、照射X線源のパルス幅にほとんど依存せず、その強度のみに依存することがわかった。これにより、多重内殻電離状態から発生するX線が高輝度短パルスX線源の強度測定に利用できる可能性があることを示した。(2)パルス幅測定:2つの短パルスX線をtの時間間隔だけあけて照射し多重内殻励起からのX線数の計算を行った。多重内殻励起の生成は、多X線吸収、すなわち、X線非線形過程で生じることを用いて2つのX線パルスの重なりによるX線数の違いからパルス幅の測定ができる可能性を探った。この方法は、X線パルス幅よりも十分短い時定数の自動イオン化状態を持つ標的に対して有効であることが明らかとなった。
森林 健悟; 香川 貴司*; Kim, D. E.*
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.7, p.233 - 236, 2006/00
高輝度X線源で生成したネオン様イオンの内殻励起状態に関係する原子データを幾つかの原子データコードで計算して、計算値の精度の評価を行い、さらに、そのデータを用いての中空原子のX線源,X線天文学への応用に関して検討を行った。原子番号が10から30のネオン様イオンの内殻励起状態の遷移エネルギーレベル,輻射遷移確率をRCI, Cowan, Declauxと呼ばれるコードで計算し、比較を行った。その結果、誤差は遷移エネルギーレベルについて2%以下、輻射遷移確率は20%以下であることがわかった。さらに、これらの原子データをもとにMg, Si, S, Ca, Feイオンの内殻励起状態及び中空原子からのX線数を種々のX線温度に対して計算した。その結果、内殻励起状態からのX線数は、X線温度にほとんど依存しないが、中空原子の場合は、例えば、Sイオンの場合、温度が1keVと3keVでX線数は二桁程度変化し、3keVを超えると内殻励起状態からのX線数に匹敵することがわかった。すなわち、これらのX線数の比較からX線温度を見積もれる可能性がある。この温度特性は、原子によって異なるので、種々の原子のスペクトル解析により、X線温度のより正確な評価が得られる可能性がある。
大道 博行; 山口 直洋*; 緑川 克美*; 河内 哲哉; 森林 健悟
レーザーハンドブック第2版, p.325 - 335, 2005/04
原子の束縛準位間の反転分布に基づくX線レーザーには、いくつかの手法があるが、そのうち、過渡電子衝突励起,再結合,内殻電離法に関して紹介を行った。小型短パルスレーザーを励起源とした過渡電子衝突励起法では、ニッケル様錫イオン(12.0nm)などで利得係数3035cmが得られており、利用研究が始まっている。例えば、強誘電体結晶のキュリー点近傍の相転位を軟X線レーザーで観測された。この方法により温度変化によるドメイン構造変化が明らかとなった。内殻電離法は、短波長X線レーザーに適した方法である。しかしながら、励起源として極めて高輝度のX線源が必要となるため、紫外線領域でしか発振していない。高輝度X線源の研究は理論,実験両面で盛んに行われており、それにともなって、このX線レーザーのモデル開発を進めている。例えば、10W/cmの強度のレーザーのプラズマ照射により、10W/cmの輝度のラーマX線の発生を見積もり、このラーマX線のマグネシウム蒸気(密度10cm)への照射により利得係数10cm,波長25nmのX線レーザー発振を予測した。
森林 健悟; 香川 貴司*; Kim, D. E.*
Journal of Physics B; Atomic, Molecular and Optical Physics, 37(20), p.4119 - 4126, 2004/10
被引用回数:12 パーセンタイル:49.7(Optics)高輝度X線が原子やイオンに照射されると内殻電離が起こり、内殻励起状態が生成される。この内殻励起状態は通常、自動イオン化を通して非常に速く消滅するが、X線の輝度がある値より大きくなると、内殻電離が自動イオン化よりも速く起こり、多重励起状態,中空原子が生成されることが予測されている。本研究では、具体的に高輝度短パルスX線源によるSiの2p内殻電子が2つ以上電離する多重内殻電離過程を取り扱い、多重内殻励起状態,中空原子からのX線発生のX線源強度測定への応用に関して検討を行った。Siの2p電子が5個電離した多重内殻励起状態と中空原子(2pがすべて電離した状態)からのX線数の比をいろいろなX線強度,パルスに対して計算した。その結果、比は、照射X線源のパルス幅にほとんど依存せず、その強度のみに依存することがわかった。これにより、多重内殻電離X線が高輝度短パルスX線源の強度測定に利用できる可能性があることを示した。
森林 健悟; Zhidkov, A. J.*; 佐々木 明; 周藤 佳子; 鈴木 慎悟*
Atomic Collision Research in Japan, No.27, p.1 - 3, 2001/00
短パルス高強度レーザーを数nmの大きさの巨大クラスターに照射することにより高温高密度電子状態を生成することが予測されている。この電子の衝突電離により内殻励起状態を形成し、X線を発生する。特に、クリプトンやゼノンのような高い電子番号の原子のクラスターの場合は、短波長X線が発生し、短波長X線源やX線レーザー源として注目されている。ここでは高温高密度状態でのゼノンイオンの多価イオン及び、内殻励起状態の生成過程に関して考察する。電子温度を数keV,電子密度を10~10/cmとする。考慮した原子過程としては電子衝突励起・電離,自動イオン化,輻射遷移である。この条件のもとでニッケル様ゼノンイオンを初期状態とし、電子衝突で電離し、数100fs後の内殻励起状態などのカルシウム様ゼノンイオンのポピュレーションを計算した。ポピュレーションの密度,温度依存性を調べた。ポピュレーションは密度と比例して増加するが、10cmのとき約100fsで飽和すること、また、温度とともに増加するが、10keVを超えると温度依存性がなくなることがわかった。内殻(1s,2s,2p,3s,3p)電離過程を含む場合と含まない(3d電子だけが電離する)場合を計算した結果、前者のポピュレーションの方が三桁程度大きくなり、高温高密度電子状態では内殻電離過程が多価イオン生成に重要であることを発見した。
森林 健悟; 佐々木 明; 上島 豊; 田島 俊樹
NIFS-PROC-44, p.164 - 165, 2000/01
高輝度X線で励起した内殻励起状態から発生するX線の応用に関して考察した。いろいろなレーザー強度やプラズマ密度、標的物質とその密度の条件を考慮して得られる内殻電離X線レーザーの性質を検討した。Cowanのコードを用いて求めたエネルギーレベル、輻射遷移確率、自動イオン化率と経験則に基づく光電離断面積を用いて考察したところ、ナトリウム蒸気を標的とすると、10w/cmの強度のX線では、内殻励起状態しか生成しないが、10w/cm以上の強度では、電子衝突や輻射過程で消滅するよりも早く次々に内殻励起が起こるので、2P副殻に電子を0個から5個まで持つ中空原子が同時に生成する可能性を明らかにした。さらに10w/cmの強度のX線を照射すれば、多重内殻電離により、10~38nmの波長をもつX線レーザーが発振する可能性を明らかにした。
森林 健悟; 佐々木 明; 上島 豊
High-power Lasers in Energy Engineering (Proceedings of SPIE Vol.3886), p.634 - 641, 2000/00
内殻励起状態や中空原子からの輻射遷移を用いたX線レーザーの物理的過程を考察し、実験に必要なレーザーの出力、プラズマパラメーター等を示す。内殻励起状態、中空原子を作るために必要な高輝度X線源は高出力短パルスレーザーをプラズマや薄膜との相互作用から生じるX線を用いる。原子過程に関しては、2つのコード(CowanのコードとDecluaxのコード)を用いて計算して、これらの原子データの精度を吟味する。さらに、原子過程を高精度に取り扱うために電子衝突電離の断面積に対して精度の高い経験則を用いる。
森林 健悟*; 佐々木 明; 田島 俊樹*
Physical Review A, 59(4), p.2732 - 2737, 1999/04
被引用回数:32 パーセンタイル:79.04(Optics)内殻電離X線レーザーの最適化に関して議論する。内殻電離以外の電子過程を遅くするために、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウムの蒸気を標的物質として取り扱う。蒸気の密度依存性、X線強度依存性に関しても議論する。Larmor X線は高輝度短パルスX線なので、励起源として適している。Larmor X線の光分布にはピークが存在するが、そのピークを内殻電離エネルギーあたりに調整することにより効率の良いX線レーザーとなる。
森林 健悟*; 佐々木 明; 上島 豊*; 田島 俊樹*
Inst. Phys. Conf. Ser., (159), p.321 - 324, 1999/00
高輝度短パルスX線によって誘起される超高速原子過程について考察する。ここでは、内殻励起状態、中空原子を形成するためのX線源の特徴に関して議論する。特に、相対論的短パルスレーザーで引きおこされるラーモアX線にはX線源として適している以下の特徴がある。(1)高輝度短パルスX線源になりうること。超高速原子過程を用いれば高ゲイン値を得ることができる。これを起こすのに高輝度X線源が必要である。また、高輝度X線による原子構造の乱れを避けるために短パルス性が役に立つ。(2)ラーモアX線の光分布はレーザーの強度によって決まるピークを持つが、このピークのエネルギーを内殻電離のエネルギーのすぐ上に選ぶことによってラーモアX線をX線レーザーに効率よく変換できる。
森林 健悟*; 佐々木 明; 上島 豊*; 田島 俊樹*
Inst. Phys. Conf. Ser., (159), p.317 - 320, 1999/00
高輝度短パルスX線によって誘起される超高速原子過程について考察する。標的原子によってX線レーザーの波長、持続時間だけでなく、必要なX線の強度が決まり、原子過程がこのX線レーザー法に非常に重要である。これを示すために炭素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウムの標的原子を取り扱う。炭素原子のK遷移と比較するとナトリウム、マグネシウム、アルミニウム原子の3s2p遷移の方がさらに、これらの標的原子は蒸気の方が固体状態よりも必要なX線強度が小さくて済むことがわかった。また、X線源の輝度がある値よりも大きくなると、超高速で多重内殻電離が起こり、中空原子が多量に形成される。この中空原子がX線レーザー源として十分に機能することも示す。
森林 健悟; 佐々木 明; 田島 俊樹*
Physical Review A, 58(3), p.2007 - 2015, 1998/09
高フラックス(10W/cm)短パルスX線によって生じる超高速原子過程を考察する。このX線を物質に照射すれば、数十fs以下の現象として、超高速の多重内殻電離を起こし、中空原子を生成することがわかった。この中空原子は、X線レーザー源として十分に機能し、さらに、従来の内殻電離によるX線レーザー発振法の困難を克服し大きなゲインを比較的長い間、発振することを発見した。このゲインに対して、数fs以下の現象と近似した解析解を導出すると共にシミュレーションを行い、さらに、この両面からレージング条件等を考察した。
森林 健吾*; 佐々木 明; 田島 俊樹*
Physical Review A, 58(3), p.2007 - 2015, 1998/09
被引用回数:67 パーセンタイル:92.2(Optics)高輝度短パルスX線によって生じる超高速原子過程について考察する。レーザー照射強度が10W/cm以上で卓越するラーモア輻射を用いれば、超高速の多重内殻電離を起こし、中空原子を形成すること、この中空原子が生体等の高輝度X線観測において重要な役割を演じること、さらにこの中空原子がX線レーザー源として十分に機能することがわかった。この中空原子を用いたX線レーザーが従来の内殻電離X線レーザー法の欠点を克服し、非常に高いゲインを比較的長い間発振することも示した。
川面 澄; 小沢 国夫; 藤本 文範*; 寺沢 倫孝*
Atomic Collision Res.in Jpn.,Prog.Rep., (4), p.60 - 61, 1978/04
HやHeのような軽イオンを衝撃する時、内殻電離はクーロン相互作用によって引起される。この時、K殻の二重電離断面積はE/U=1で最大となり、入射イオンのZに比例することを見出し、すでにいくつかの論文として発表した。本レポートに今までの成果の要約を述べることとした。
川面 澄; 小沢 国夫; 藤本 文範*; 寺沢 倫孝*
Phys.Lett.,A, 60(4), p.327 - 329, 1977/04
原研2MV Van de Graff加速器を用いて0.25~2.0MeVのH,He,N,Ne,Arイオン衝撃によるBe及びBeOからのX線発揮スペクトルを結晶分光器を用いて調べた。 得られた結果は次のようになる。(1)BeからのK X線は108.5eV,K,X線(K殻の二重電離)は146.1eVでありHFSによる計算結果とほぼより一致を示す。(2)Be原子のK殻電離機構は軽イオンの場合には直接のクーロン相互作用によって、重イオンの場合には電子昇位モデルによって説明される。(3)BeOの場合には化学結合効果によって低エネルギー側へシフトし、Be-K及びKX線は、それぞれ104.6eV及び143.3eVとなる。エネルギーシフトは各々-4.1eV及び-3.8eVである。(4)それぞれの主線から約11.5eV高エネルギー側にKL及びKLX線が現われる。これは重イオンによる外殻電子の多重電離と電子昇位に基づく内殻電子の電離の増加を通して起こる。そしてこの遷移による電子はO原子の価電子から生じていることがエネルギー準位の計算から示される。
森林 健悟
no journal, ,
重イオンビームの動径線量分布は重粒子線癌治療の治療計画に使用されているが、細胞の致死率で重要な領域である重粒子線の軌道付近は不確かである。そこで、この領域において、この分布を現実に近づけるため、動径線量シミュレーションモデルの開発を行ってる。本講演では重イオンビーム照射で起きる内殻電離を動径線量シミュレーションモデルに導入し、内殻電離の動径線量への影響を調べた結果を報告する。内殻電離をモデルに導入すると、動径線量は数10%程度増加することがわかった。この導入によりシミュレーションモデルを現実の状況に近づけることに成功した。